高品質な特許出願書類とは?

query_builder 2021/11/12
ブログ
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前回のブログでは、発明者が特許事務所に出願を依頼する最大の理由が、明細書と特許請求の範囲を絶妙なバランスで作成するのが素人には難しいゆえであると説明しました。


今回はその点について深掘りしたいと思います。


前回もお伝えしましたが、明細書については、発明の内容を当業者(同業者)が実施可能な程度に記載します。

ここで、ノウハウとして一般公開しない方が良い内容は書かないでおきます。ただし、明細書に記載された内容の中からしか特許請求の範囲に記載できないので、ノウハウ部分は権利化できないことに注意します。


また、発明の細かい部分で、出願時には権利化するつもりがない部分も、後に(数ヶ月~数年後に)世の中の状況に応じて権利化したくなる場合があります。

これは「分割出願」という形で対応することで、明細書に記載された中から、当初と別の部分を権利化することができます。

そのため、出願時には権利化するつもりがない部分も書いておく方がよいです。


さらに、自分で権利化する必要はないが、別の人に権利化されたくもないような内容も、明細書に記載しておきます。

これにより、別の人同一の内容を出願しても、新規性がないことになり、権利を取ることができません。


一方、特許請求の範囲については、

細かく書くほど、権利範囲が狭まり、かつ特許になる可能性が高まります。

一方、大雑把に書くほど、権利範囲が広くなり、かつ特許になる可能性が低くなります。


例えば携帯電話であれば、

単に、「通話とインターネット接続を行う機器」として特許請求の範囲を記載した場合、とてつもなく広い範囲となります。

もしこれで権利が取れたら、全ての携帯電話メーカーからロイヤリティ(特許権使用料)を取ることができ、瞬く間に億万長者となるでしょう。

しかし現実は甘くなく、これでは特許庁における審査の段階で瞬時に新規性が否定され、権利を取れません。

一方、タッチパネルディスプレイや通信インターフェースの詳細な構造を細かく書けば、権利を取りやすいです。

しかし細かく書きすぎると、他社からすれば少しでも改変したものであればOKとなり、特許権の意味が少なくなります。


絶妙なバランスが必要とはまさにこのことなのです。

私も以前特許事務所に勤めていましたが、しっかりとした明細書や特許請求の範囲を作成できるようになるまでに2,3年はかかっていたと思います。


大手メーカーであっても殆どが特許事務所に外注しているのはこれが理由なのですね。


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