中小企業の特許戦略1

query_builder 2022/01/05
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今回は、中小企業や個人発明家が果たして特許で大企業と競うことができるのか、について少し考察したいと思います。


2018年の特許出願件数においては、大企業の占める割合は80%程度であり、中小企業は15%程度、個人発明家に至っては数%となっています。この数値を見たとき、中小企業や個人発明家は特許では大企業に太刀打ちできないと考える人も多いと思います。


しかし、大企業における特許出願1件の価値はさほど高くないケースが散見されるため、中小企業や個人発明家はこれを恐れる必要はないと思っています(大企業の方から怒られそうですが)。


そもそも大手メーカーの特許出願件数が多い理由の一つは、エンジニア一人一人に対し、特許出願(あるいは実用新案出願)の候補となる発明を挙げるよう、ノルマのようなものが課せられているからです。


すると、エンジニアが「この発明は自身の会社にとって有益なものだ」と感じて発明を挙げるケースは割合として少なくなり、寧ろ、「実際にはこんな発明、上司に承認される訳ないけど、面白いアイデアだからこれを出そう」というパターンが多くなります(かつて私自身がそうでした)。


また、大手企業には知的財産部(知財部)という部署があります。エンジニアが挙げてきた発明の中から質の高いものを選定して特許出願したり、出願したものを特許事務所と一緒に権利化まで持って行ったり、権利化された特許の侵害やクロスライセンスについて他社と話し合ったりするところです。私が某特許事務所に特許技術者として勤務していた頃、打ち合わせを行う相手は殆どがこの知財部の人達でした。


これも会社によりけりで一概には言えませんが、少なくとも私が打ち合わせしていた知財部では、エンジニアが挙げてきた多くの発明の中から年間○○件の特許出願を行うといった、知財部としてのノルマのようなものが課せられていました。


そして、知財部はそのノルマを達成するために、特許出願できないレベルの発明に対しても、内容を肉付けして出願することがあり、中には、「よくエンジニアから、”こんなもの絶対使えないよ”と文句を言われている」と自嘲している人もいました。


繰り返しますが、全ての大企業がそうだとは言いません。しかし、特許出願の内容の平均レベルで言えば、「この発明に社運や人生を賭ける!」くらいの情熱で出願している中小企業や個人発明家の方が高いのではないかとさえ思っています(あくまで個人的感想ですが)。


ではなぜ大企業はそこまでして特許出願を行うのか、その理由は、大企業は「知財ポートフォリオ」という考え方に基づき動いており、そもそも自身の分野で多くの特許を持っておくこと自体が有益と考えているからです。


中小企業や個人発明家は、そのような考え方で出願する必要はなく、純粋に「こんなアイデアが生まれた」「こんな製品が作れた」と、具体的なものを持っており、そこにかける熱量も凄いです。


これが、中小企業や個人発明家が特許出願で大企業に引けを取らない最大の理由です。


次回は、中小企業や個人発明家が具体的にどのような戦略を立てれば良いのかについて説明していきます。


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